三谷幸喜作・演出 国民の映画@PARCO劇場
このお芝居は、2011年に初演、読売演劇大賞をはじめ、数々の賞に輝いた作品!!
そして、ホロヴィッツで凄い俳優さんだなーと思った段田安則さんやロスト・イン・ヨンカーズでのお父さん…っていうか長男役の印象が残っている小林隆さん、それに今回初めて拝見する小日向文世さんが出演されているので、楽しみにしていました^^
会場には、たーーくさんのお花が…!!!
初日に近いとお花のいい香りが漂っていていいですねー^^
1940年代のドイツ・ベルリンを舞台に、宣伝大臣ゲッベルス(小日向文世)と映画人たちとの間で繰り広げられる人間ドラマを描く作品です。
ゲッペルズは、ヒトラー内閣がプロパガンダのために作った宣伝省の初代宣伝大臣。
彼には、映画、音楽、絵画、演劇、ラジオ、新聞などの芸術とメディアを監視、検閲する権力が与えられており、第三帝国の宣伝者として辣腕をふるう彼は、無類の映画好きでもあり、当時のドイツ映画界におけるまぎれも無い「神」。
映画人にとっては、彼に気に入られることが映画を作り続けるための絶対条件なのだった。
権力と結託して作品を量産する俗物映画監督エミール・ヤニングス(風間杜夫)。ナチスの庇護を受ける伝説の名優グスタフ・グリュンドゲンス(小林勝也)。ナチスに祭り上げられた若き女性監督レニ・フェンシュタール(新妻聖子)。国民からの人気を武器に毅然と立ち向かう劇作家エーリヒ・ケストナー(今井朋彦)。そしてゲッペルズのご機嫌取りだけに命を賭ける俳優たち。人気女優ツァラ・レアンダー(シルビア・グラブ)、人気俳優グスタフ・フレーリヒ(平岳大)、新進女優エルザ・フェーゼンマイヤー(秋元才加)。
パーティーに集まった面々に向かって、ゲッペルズは彼らを集めた本当の理由を話し始める。
親衛隊長官のハインリヒ・ヒムラー(段田安則)が、独特の存在感のなさをいい味で演じていました。
ヒムラーって、よく考えると反ユダヤ思想の強い人で、ひどい行為をした人ってイメージがあって。人物を掘り下げちゃうと嫌な感じしかしないんだけど、普通の人の部分を描いているので、するっと入れたかな…。
気ままな大女優って感じが出ていたツァラ・レアンダー。
劇中では、ヒトラーが「あのお方」と称されていたのと同じように「ユダヤ人」という言葉もツァラが口にするまで誰も口にしなかったんですよねー。
それが余計に緊張感っていうか、緊迫感を呼んでいて、抗えないものって感じが出ていたと思います。
空軍元帥のヘルマン・ゲーリング(渡辺徹)が陽気で豪放な感じ^^
ご本人が太っているイメージなので、こんなに太っちゃったの??と本気で思ってしまった…(汗)
劇中で、この時代を象徴するような会話がなされるんだけど、これがちょっと怖い…。
ゲッペルスとヒムラーが、ヨーロッパからユダヤ人の存在を消すための設備、一度に2000人を処理できるガス室を用意できるようになった!という話を今までの会話と同じテンションでする場面。
実際にこれを使用した訳だけど、普通の人と同じにみえるこの人たちが本気でこんなこと考えてたんだなーと改めて思うとゾッとする。
映画人たちがゲッペルズの提案を聞き、最後には自分の心に沿った選択をするんだけど、何だかちょっとホッとする気持ちになるのもつかの間、最後の最後にゲッペルズの妻マグダ(吉田羊)がユダヤ人とばれてしまった執事のフリッツ(小林隆)に対して「力になれなくて…」と言っていたのに、淡々と「ユダヤ人の割りにいい人だったのに…」マグダにとっては何気ない一言。
だけど背筋が凍るような一言をはいて去って行くんですよねー。 このシーン、めっちゃ怖い…><
今までフリッツにたよりながらも、ヒトラーと同じ感情を抱いてたんだ…と思うとちょっと哀しくなる…。
このお芝居、喜劇でもないし、結末も重いものだけど、とってもよかったです。